
その昔、富山県小矢部市の嘉例谷(かれいだに)と宮島の間には下山(しもやま)という山があり、能登街道の通り道として栄えていました。しかし、この山の峠茶屋あたりには山賊が現れ、旅人を脅したり谷底へ突き落としたりする非常に物騒な場所でもありました。
困り果てた村人たちは、山賊が出ないようにする良い手立てはないかと考え、「石の仏様を作って見守ってもらおう」と思いつきました。せっかくなら強そうな仏様にしようと、まるでお相撲さんが座っているような、がっしりとした姿の石仏を彫って峠に安置しました。
すると、さすがの山賊もその力強い仏様の前では旅人に手が出せず、やがて姿を消しました。下山は再び、馬の鈴の音が響くようなのどかな往来の地となりました。
この石仏の噂は近隣の村々にも広まり、他の村の若者たちが「この仏様を自分の村へ譲ってほしい」と競ってやって来るようになりました。ところが、どの村の屈強な若者たちが挑戦しても、この石仏をぴくりとも動かすことはできませんでした。
ある夜、嘉例谷に住む男の夢枕にその仏様が現れ、「色々な村から迎えに来ているが、わしは嘉例谷で安らかに暮らしたいのじゃ」と告げました。驚いた男が村人たちにこの夢の話をすると、嘉例谷の人々は村一番の力持ちの男を下山へ向かわせることにしました。
加礼谷の力持ちの男が下山の人々に事情を話し、多くの人が見守る中で石仏を持ち上げようとしました。すると、今まで誰も動かせなかった石仏を、男はまるで布団でも持ち上げるかのように軽々と持ち上げたのです。その様子を見た他の村の人たちは大変驚き、「この石仏は本当に嘉例谷に住みたいのだな」と納得して諦めて帰っていきました。
こうして石仏は嘉例谷に迎えられることになりました。それ以来、嘉例谷の村人たちは、この仏様を力の神様「力神様」として、末永く大切に祀ったということです。
住所 : 〒富山県小矢部市嘉例谷
駐車場なし(住民の方々のご迷惑にならない様注意しながら周辺に停車してください)